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後遺症

 3 後遺症

1)過剰仮骨形成 仮骨が過剰に形成され、吸収が少ないか、または吸収されない場合。関節付近の骨折に多く関節運動障害、神経の圧迫や伸長による神経損傷、血管の圧迫による循環障害を起こす。前腕のような平行する2骨間に架橋仮骨が形成され回内外運動が制限されることもある。発生原因としては粉砕骨折、大血腫の存在、骨膜の広範な剥離、強すぎた圧迫固定、早期かつ過剰に行われた後療法などがある。
2)偽関節 骨損傷部の骨癒合過程が停止したもの。骨髄腔は閉鎖され両骨片端は隔離して硬化する。骨損傷端間隙は繊維組織または軟骨組織で占められる。6か月以上経過して異常可動性が明瞭な場合は偽関節とみなし、観血的療法適応となる。発生原因としては局所に働く阻害力(剪力、屈曲力、牽引力、回旋力など)、血行不良、粉砕骨折などによる骨の欠損、血腫分散及び流失、骨折端間に軟部組織介在、体質異常、内分泌異常、栄養障害、整復不良、固定不良、短い固定期間、過度の牽引、不適切な後療法など。
3)変形治癒 骨折端が転位を残したまま骨癒合した状態。自家矯正力を越えた転位のまま癒合した場合変形治癒となる。原因は、不正確な整復、不適当な固定により整復位が保持されなかった場合に起きる。
*変形治癒が避けられない場合:関節内骨折や小児の骨端部骨折では後日に変形が増強し関節症や機能障害を呈することがある。また、疾病によって正しい固定肢位を維持できない場合もある。小児の上腕骨顆上骨折など正常に治癒後数年の経過とともに変形し神経障害や運動障害を起こすものもある。
4)骨萎縮 骨の添加機構が停止し吸収作用が行われる場合に発生し、形成された骨組織が縮小し機能が低下していく状態。長期固定でほとんどの症例でみられるが、一般的には後療法の経過とともに改善される。
*ズディック(Sudeck)骨萎縮:有痛性骨萎縮で四肢末梢部に起こりやすい。小動脈の血管攣縮によるもので交感神経障害(血管運動神経障害)、心因性因子も関係する。運動機能障害、疼痛(奥からくる強い痛み)、腫脹(暗赤色で広範囲に腫れる)、関節拘縮、爪の委縮などがみられX線像では骨の希薄化、斑点状の脱灰像が現れる。
5)無腐性骨壊死 栄養血管が損傷されると骨への血行が遮断され骨片が壊死を起こす。股関節脱臼骨折、大腿骨頸部内側骨折、手の舟状骨骨折、距骨骨折などに起こりやすい。
6)関節運動障害(強直・拘縮) 関節可動域制限。長期の固定、関節内骨折、関節近隣の骨損傷、過剰仮骨、変形癒合などの場合にみられる。
①関節強直 関節を構成する骨、軟骨に原因、関節骨面が癒着し可動域制限されたもの。
②関節拘縮 関節包、靭帯、筋、皮膚などの軟部組織が委縮、収縮して可動域が制限されたもの。
7)外傷性骨化性筋炎 筋組織の骨化現象。筋組織内、骨膜外の血腫が吸収されずにカルシウムがが沈着し骨化する。腫脹、熱感、疼痛、運動制限がみられる。
8)Volkmann拘縮(阻血性拘縮)外傷のために生じた前腕筋の阻血性循環障害。小児の上腕骨顆上骨折に多い。転位の未整復、過度の腫脹、固定包帯の緊迫などにより前腕屈筋群に血行障害がおこり急速な退行変性を起こす。筋が線維化、短縮し不可逆性変化が起こると重症の後遺症を残す。受傷後24時間以内に始まり、前腕に強い浮腫、自発痛、チアノーゼ、拍動消失、冷汗、知覚麻痺などの阻血症状が現れ、屈曲拘縮を起こす。「一夜にして現れ、一生治らない」徴候出現とともに固定を緩め、ただちに専門医にて処置をする。