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TOP > スポーツ傷害各論 >  膝周りの痛み(傷病別)

有痛性分離膝蓋骨

  膝蓋骨(膝の皿)は通常1個の骨化核から形成されるが、2個以上の骨化核を有し骨形成が妨げられ2個または数個に分離した膝蓋骨(分離膝蓋骨)を認める場合がある。通常、症状もなく治療の必要はないが、過度のスポーツ活動で分裂部に牽引力が反復し疼痛を発生することがある。スポーツ活動を続けている10歳代の男女に多く走行やジャンプ時に膝前面に疼痛を訴える。外側広筋腱付着部である外上方(SaupeⅢ型)が最も多い。次いで外側端(SaupeⅡ型)に多くみられる。分裂部に一致して著明な圧痛と叩打痛を認める。スポーツ傷害ではないがスポーツ現場で遭遇することが多い。

応急処置 アイシングと大腿四頭筋の軽擦法。
競技復帰 ジャンプ、ダッシュなどの活動制限を行い大腿四頭筋のストレッチ、練習後のアイシング、スポーツ用サポーターの装着で徐々に負荷をかけるようにする。疼痛が強い場合は練習を一時中止し、基本的には保存療法を原則とするがスポーツ活動が長期に制限される場合は観血療法も検討する。
予防 分離膝蓋骨自体を予防することはできない。疼痛の発生を防止することにある。まず、膝の痛みが分離膝蓋骨が原因かどうか診断すること。専門医である整形外科にてX-P検査で診断できる。整骨院での確定診断はできない。他の傷害と圧痛点を確認すれば鑑別できるが、初期ではジャンパーズニーと同部位にも圧痛点を認めることが多い為、初めから疑って触診する必要がある。
 分離部の異常可動性が痛み発生の原因となる為、分離部への牽引力を軽減するテーピングや膝蓋骨用サポーター(膝蓋骨の動揺を抑える)の装着、大腿四頭筋のストレッチとハムストリングの強化を行う。

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膝内側側副靭帯および関節包損傷(膝関節捻挫)

  内側側副靭帯はかなりの力(外反方向の挫傷、内側の打撲)が加わらないと損傷しない。外力が中等度であると、一部分(通常上方の付着部)の線維のみが裂ける。膝を臨床的に検査しても動揺性は示さないが、靭帯を伸ばすと痛みを生じる。部分断裂によって生じる血腫の中に後になって石灰化をもたらすことがあり、大腿骨付着部に限局した痛みを生じる(Pellegrini-Stieda病)。

 大きな力が働いた場合、まず靭帯の深層に断裂を生じ、力の大きさにしたがって順次内側側副靭帯浅層、内側の関節包、後部靭帯、後十字靭帯、前十字靭帯までも損傷される。急性の完全断裂があると、外反位または外反強制位でのひどい動揺性を呈し、観血的治療が適応である。部分断裂の場合6週間固定で治癒する。内側の靭帯損傷には、脛骨外顆部の骨折が併発することが有るので注意する。

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膝外側側副靭帯および関節包損傷(膝関節捻挫)

  膝を内反するような内側部の打撲により傷害される。腓骨付着部での断裂が最も多い。外力が増加するとWrisberg靭帯や十字靭帯の断裂を起こす。総腓骨神経が伸張され不可逆的な傷害を受けることがある。腓骨内顆部の骨折の合併と慢性型での亜脱臼傾向に注意する。

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膝十字靭帯損傷(膝関節捻挫)

 前十字靭帯

 内側半月板断裂の後遺症として生じることがある。半月板の縦方向の断裂は関節の伸展を障害し完全伸展の際、磨耗断裂を起こす。前十字靭帯断裂は、重篤な側副靭帯の損傷を伴うことがある。単独断裂は稀で、脛骨前面付着部での剥離を伴わない限り保存的に治療する。半月板損傷を伴っていれば、半月板を摘出する。側副靭帯の損傷を伴っている場合、脛骨の亜脱臼と二次性関節症の発生を防ぐため半月板は温存する(切除せざる得ないような断裂が多い)。前十字靭帯損傷に内側または外側の側副靭帯損傷が合併する例では脛骨の亜脱臼による障害が多い(観血的修復、再建)。

 純粋の前方亜脱臼が症状の原因であって、大腿四頭筋の強化訓練のような簡単な方法で症状の改善が見られない場合は再建術が適応である。

後十字靭帯

 屈曲した状態で脛骨が後方へ強制的に押された場合損傷する。急性損傷は観血的療法が適応である。放置すると不安定性が持続し変形性関節症が必発である。

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半月板の病変

先天性円板状半月板

 外側半月板に多く小児期に発症するものが多い。半月板は正常な三日月形ではなくD型をしていて中央端は脛骨隆起のほうへ広がっている。外側部での著明なクリック、伸展障害、膝内症の徴候を生じる。

青年期における半月板断裂

 主な原因はスポーツ損傷である。屈曲加重時に下肢捻転で発症。通常縦方向に断裂し、断端は関節中央に向かい内方へ偏位する。(bucket-handle型断裂)完全伸展を障害(ロッキング)し膝を真直ぐにしようとすると有痛性の弾性抵抗を触知する(完全伸展の弾力性障害)。内側半月板損傷の場合完全伸展の長期にわたる障害は、前十字靭帯の伸張と断裂を引き起こす。外側半月板の断裂は、しばしば半月板囊腫を合併し運動性を制限する。

中年における半月板の変性病変

 加齢に伴う変性により弾性が失われると、半月板内部に水平方向の裂け目を生じる。外傷に起因しないこともある。関節に限局した圧痛があるのが特徴でほとんどの場合保存的に治療する。

半月板囊腫

 ガングリオン様の囊腫は外側半月板に多い。半月板部に打撲の既往がある例が多い。圧痛があり、半月板の移動を制限するので断裂の危険性が増加する。内側の囊腫は鵞足に生じたガングリオンとの鑑別に注意する。

スポーツ傷害ではないが、スポーツ現場で遭遇することもあるので注意する。

 

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膝蓋骨習慣性脱臼

  一回目は外傷によって発症。自然整復されることもある。続いて膝蓋骨がだんだん脱臼しやすくなり、長く経過したものでは外側に偏位したままのものもある。思春期に発症するのが特徴、少年より少女に多い。外反膝、軽度反張膝、膝蓋骨高位、大腿骨外側顆発育不良、時に大腿四頭筋の大腿骨、膝蓋骨への付着部位の異常などが見られる。 脛骨骨端閉鎖前では半腱様筋腱の遠位部を使用して膝蓋骨の固定を行う。閉鎖後では脛骨租面を内・外方へ移行して大腿四頭筋の牽引方向を変え、膝蓋骨を安定化する。スポーツ傷害ではないがスポーツ現場で遭遇することもある。

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膝蓋骨軟骨軟化症

 少女や若い婦人に多い。関節軟骨が柔らかく海綿状になり膝の前面に鋭い痛みを引き起こす。習慣性脱臼に続発することもあり、膝蓋骨後面の変形性関節症になることもある。初期はギプス固定、重度は関節面を削り取る。変化が著しく進行したものは摘出する(将来の変形性関節症を避けるため)。

 慢性の膝痛と膝蓋骨軟骨軟化症に良く似た所見を示す若い女性は多いが、実際に関節軟骨に異常を認めることはめったにない。この症例には、膝前方痛として見放されるか膝蓋骨アライメント不良と診断される。程度は異なるが痛みは何年も続く。スポーツ傷害ではないがスポーツ現場で遭遇することもある。

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離断性骨軟骨炎

  10歳代男子に多く大腿骨内側顆に多い。骨が脛骨隆起や十字靭帯との摩擦を繰り返す結果、骨の一定の部位が無血管性壊死に陥り、この部とその下の健常部との間に分界線が生じる。完全な分離が起こると遊離体が生じる。初期は鋭い痛みと浸出液貯留の繰り返し、遊離体が存在すればロッキングも起こる。骨端線閉鎖以前であれば大腿四頭筋訓練と荷重の継続からなる保存療法が有効。

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脂肪体傷害

  膝蓋骨下脂肪体に圧痛や腫脹を生じる。特に大腿骨と脛骨の関節面に挟まれる時には膝を伸展すると疼痛を生じる。これは変形性関節症の合併症として起こるが、若い女性では月経前の体液貯留に伴って脂肪体が腫脹する時にも見られる。スポーツ傷害ではないが、スポーツ現場で遭遇することもある。

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関節遊離体

  変形性関節症、離断性骨軟骨炎に良く見られる。稀に滑膜性軟骨腫で多数の遊離体が異常な滑膜から生じる。スポーツ傷害ではないが、スポーツによる外傷に伴い発症することもある。いわゆる「関節ネズミ」である。

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滑液包炎

  膝窩部に生じる嚢包性の腫脹は半膜様滑液包の腫大によることが多い。腫脹は膝関節自体と交通している。膝蓋骨前面(前膝蓋骨滑液包炎)、膝蓋靭帯(膝蓋骨下滑液包炎)に波動性の腫脹が生じる。

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Sinding-Larsen-Johansson病

 シンディング・ラーセン・ヨハンソン病: Osgood-Schlatter病と同様機序で、膝蓋腱の膝蓋骨付着部が反復される機械的刺激を受けて発症。膝蓋骨下端に運動痛、腫脹、圧痛がみられる。10歳から12歳前後の男子に多く、膝蓋骨骨化過程の傷害である。軟骨部分が反復される外力により損傷を受け発症する。競技復帰、予防はOsgood-Schlatter病と同様。

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棚障害(滑膜ひだ障害)

 膝関節腔内の隔壁の遺残として、約半数の膝に膝蓋上方の内側壁から膝蓋下脂肪体にいたる棚板状の滑膜ひだがある。屈伸に際して膝蓋骨と大腿骨内側顆との間に挟まり、機械的刺激を受けて肥厚や断裂を生じる。運動時に膝蓋骨内下縁に疼痛を訴え、同部に圧痛がある。弾発現象を呈する場合も有る

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Osgood-Schlatter病(オスグッド)

 オスグットシュラッター病:単にオスグットと呼ばれることが多い。小学校高学年から中学生の男子に多い。大腿四頭筋の過度の収縮を繰り返すことによって膝蓋靭帯の脛骨付着部が慢性の機械的刺激を受けて発症。脛骨結節部の運動時痛と膨隆を生じる。病態は、過度の牽引による膝蓋靭帯脛骨付着部の剥離損傷と考えられる。成長痛ではなく成長期に起きる傷害です。

 骨の成長に筋、腱の成長が追い付かない状況の下、ジャンプ、急激なストップ動作などにより大腿四頭筋、膝蓋骨、膝蓋靭帯から脛骨粗面(結節部)に過度の牽引力が伝わり骨化過程にある骨端軟骨が剥離を起こす。使い過ぎによる炎症と思っているスポーツ指導者が多く、また、成長痛だから仕方がないと思っている指導者も見かける。傷病の本態を正しく認識し、処置、予防すべきものである。素因として、Q-angleの強い人、O脚、X脚などが関与すると言われている。

 Osgood-Schlatter病、ジャンパーズニー、Sinding-Larsen-Johansson病をひとまとめにして痛くなるのは仕方のないこととして指導している光景もときどき見かける。発生原因は同じであるが、傷病の本態は異なる。

応急処置 アイシングが効果的である。アイスバッグによるアイスマッサージを行う。同時に原因の主動筋である大腿四頭筋と拮抗筋であるハムストリング(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)の軽擦とストレッチを行う。

競技復帰 損傷の程度によるが初期であれば練習前後の大腿四頭筋、ハムストリングのストレッチと、練習後のアイシングを充分に行えば競技に支障は出ない。この時点で処置や予防をすることは稀である為、練習や競技に支障をきたすものと思われる。ほとんどの選手が脛骨粗面の膨隆(骨の増殖)、歩行痛、正座困難な状態で治療を開始する事が問題点である。初期の段階で装具またはスポーツ用サポーターの装着、テーピングも有効。症状が強い場合は膝の急激な屈伸運動(ジャンプ、ダッシュ&ストップなど)を制限する。

予防 上記からもスポーツ現場での指導者の病態に対する認識が最も重要である。下肢の形態とともに身長が急速に伸びている子供に関しては練習の前後に限らず下肢のストレッチを充分に行わせる必要がある。また、痛みを訴えることのできる環境整備が不可欠。同じメニューでも発症する子と発症しない子があるのは個々の成長時期が異なることと下肢の形態が関与すること、練習メニューの動作の不正確さ、筋力と筋の柔軟性、、関節可動域(関節の柔軟性)などよる。選手にストレッチの仕方と重要性を理解させることが重要である。 ☞ 大腿四頭筋及びハムストリングのストレッチ 準備中 ☞ アイシングの仕方 準備中

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腸脛靭帯摩擦症候群(腸脛靭帯炎)

  膝関節の屈伸に際し30度屈曲位付近で、大腿骨の外側との間で生じる摩擦のため炎症を生じる。過使用が原因となるが、誘因としてO脚、回内足、偏平足などがあげられる。特に傾斜のある場所での走行、トラックでの同一方向周りでの走行で、腸脛靭帯の緊張が高まる場合に生じやすい。症状は、軽度屈曲させたときに外側に痛みを生じ、大腿骨外側上顆部に痛みを認める。

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ジャンパーズニー

  膝蓋腱(靭帯)は大腿四頭筋が収縮したときに膝蓋骨を介して下腿を伸展させる機構の一部として働くと同時にランニング、跳躍の場合に減速機構、衝撃吸収機構としての働きもある。このため、大腿四頭筋腱の付着部である膝蓋骨の上縁、膝蓋腱(靭帯)の膝蓋骨付着部である膝蓋骨下縁、膝蓋腱(靭帯)脛骨付着部である脛骨粗面に対する繰り返される微小損傷により膝蓋腱(靭帯)が損傷され瘢痕治癒による拘縮や炎症のため痛みを生じる。損傷と瘢痕治癒を繰り返すことによって石灰沈着を見ることもある。初期は外力による傷害である。成長痛ではない。

競技復帰 Osgood-Schlatter病と同様の原因で発生する傷害でOsgood-Schlatter病は脛骨粗面の剥離損傷であるのに対し、ジャンパーズニーは脛骨粗面につく膝蓋靭帯の微小損傷である。膝蓋骨(膝の皿)下縁から脛骨粗面の間に圧痛がある場合と膝蓋骨上縁の大腿四頭筋腱に圧痛がある場合がある。両者とも大腿四頭筋の牽引による損傷であるので大腿四頭筋の緊張を取ることに重点をおき外傷性の炎症を抑えるためアイスマッサージを行う。ジャンプ、ダッシュ&ストップなどの運動制限を行い競技力を落とさないように躯幹(体幹)の強化と上肢のトレーニングを行いながら徐々に下肢へのストレスをかける。スポーツ用サポーター、テーピングが効果的。

予防 Osgood-Schlatter病と同様。

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ランナーズニー

  繰り返される着地衝撃により、膝蓋骨が大腿骨の関節面に押し付けられ、あるいは擦られるため膝蓋軟骨の軟化、線維化(毛羽立ち)、亀裂などを生じ、軟骨による衝撃吸収力が低下し症状が出現する。下肢の変形や荷重軸の異常(内股、膝蓋大腿関節面の不適合)によることが多いといわれるが、競技スポーツ選手では、過使用、過負荷が原因と思われる症例が多い。大衆ランナーでは、骨格の異常が大きな原因のひとつになる。

 初期には膝関節全体、特に膝蓋骨周囲の重だるい感じを認め次第に屈伸時、ランニング時特に下り坂、階段下降時に痛みを訴えるようになる。屈伸時に棯髪音がしたり膝蓋大腿関節の圧迫痛がみられる。

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