疼痛(Pain)
2021年6月 1日(火曜日)
骨損傷受傷時に受傷の外力や骨折端によって起きる併発症、骨損傷を起こしたことにより続いて起きる続発症、骨損傷の治癒過程で起きる後遺症に分けられる。重篤な症状もあるので受傷時の徒手検査、後療(治療過程)時徒手検査が重要。合併症の有無を必ず確認し専門医(整形外科)を必ず受診させること。
1.併発症
1)関節損傷 関節構成組織(靭帯、関節軟骨、関節包、関節唇、滑液包)の損傷。脱臼が伴えば、脱臼骨折、関節面に骨折があれば関節内骨折で脱臼骨折は整復に高度な技術が必要、関節内骨折は後遺症に注意し長期の経過観察が必要。
2)筋・腱等軟部組織損傷 骨折時の外力や骨損傷端により筋、腱、皮膚等の損傷を合併することが多く治癒過程に大きな影響を及ぼす。骨折端により皮膚が損傷された場合は開放性骨折(複雑骨折)となり細菌感染の恐れがある為、外科的処置を行う。また、重篤な筋挫滅を伴う場合は急性腎不全を発症することがあるので注意を要する。
3)内臓損傷 受傷機序により鎖骨損傷時は肺損傷、肋骨損傷時は肺、脾臓、腎臓損傷、骨盤骨損傷時は尿道、膀胱、直腸壁損傷が合併することがある。
4)脳脊髄損傷 受傷時の外力や骨折端の転位により頭蓋骨損傷時は脳損傷、脊椎骨損傷時は脊髄損傷を合併することがある。
5)血管損傷 受傷時の外力や骨損傷端の転位により血管の圧迫、挫滅、断裂などの損傷が合併することがあり、四肢末梢の循環障害、骨片の無腐性壊死を起こすことがある。また、持続的な動脈性血行障害により阻血性拘縮をみることがある。
6)末梢神経損傷 上肢の骨損傷では橈骨、尺骨、正中神経損傷、下腿骨の損傷では腓骨神経損傷を合併することがある。受傷時の骨損傷末梢部に鈍麻、麻痺等の有無を確認すること。
2.続発症
1)外傷性皮下気腫 空気が肺から皮下組織に侵入、肋骨骨折で肺が損傷され発生する。皮下気腫はびまん性、、扁平で柔らかく弾力があり触診で握雪音を認める。
2)脂肪塞栓 損傷部の骨髄脂肪(黄色骨髄)が血管に入ると考えられている。大腿骨や骨盤骨損傷の後、また、多発骨折時にみられる。受傷後の過剰な可動が発症を助長する。受傷後1~3日後に起こり、肺塞栓では呼吸困難、チアノーゼ、脳塞栓では頭痛、不安感、意識障害、嘔吐、痙攣、心塞栓では心悸亢進、血圧下行などが起こり死亡することもある。
3)仮骨軟化・再骨折 伝染病、壊血病などの全身疾患、蜂窩織炎・丹毒などの局所疾患で仮骨が特発性に軟化吸収され再骨折を起こす。
4)遷延仮骨形成 通常仮骨形成される日数を経過しても仮骨形成がみられないもので骨損傷の修復は続いているもの。骨癒合を阻害している因子の改善により骨癒合が期待できる。
5)コンパートメント症候群 四肢の筋肉、血管、神経組織は筋膜、骨間膜、骨組織によって囲まれており、この空間を隔室(コンパートメント)という。骨、筋、血管損傷により隔室内の組織内圧が上昇し、組織の循環不全が生じて筋、神経の機能障害を引き起こす。筋、神経組織が壊死する前に発生を防止する。予防が重要。
6)長期臥床による続発症 沈下性肺炎、褥瘡、深部静脈血栓症、筋委縮、尿路感染、痴呆などが発症することがある。
3.後遺症
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