骨折の定義・分類

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骨折の定義・分類

2021年6月 1日(火曜日) テーマ:怪我・外傷

【骨折(骨損傷)の分類

定義

骨折とは骨組織の連続性が完全あるいは部分的に離断された状態をいう。

 

概説

骨損傷を起こした骨が正常な骨か病的かによって外傷性骨折か病的骨折かに分かれる。また、外力のかかり方、骨折線の入り方などにより分類される。

 

【外力の加わり方による分類】

急性

 転倒や転落などの特発的原因、交通事故、労働災害、スポーツなどの現場で発生する。一度に加わった直達外力または介達外力により発生する。加わった力、加速度、方向性、基礎的状態により種々の損傷を起こす。

亜急性

 労働、スポーツ環境、高齢化社会などの因子により、反復・継続される外力により損傷を起こす。年齢や基礎的状態(骨の状態)が関与する。

 

【骨の性状による分類】

外傷性骨折 正常な骨に外力が作用して損傷したもの。

疲労性骨折 外力が持続的に作用または、一方向に外力が繰り返して作用し集積されて損傷する。金属の疲労現象に似ていて運動選手が長時間の疾走、跳躍等の練習を繰り返すことによって筋肉の骨に対する反復作用、地面からの反復した衝撃により損傷を起こす。

病的骨折 特発性骨折ともいう。骨に疾患があり骨組織が脆弱になっている時に正常な骨であれば骨折を起こしえないわずかな外力もしくは外力なしで損傷する。

 

【骨損傷の程度による分類】

完全骨折 骨損傷により骨組織の連続性が完全に離断されたもの。

不全骨折 骨の一部が損傷され一部が損傷を受けずに連絡を保っているもの。不全骨折は柔道整復師の分類法で医科では不全骨折と言う名称は使わない。

・亀裂骨折 ガラスなどのヒビと同じで頭蓋骨、肩甲骨、腸骨などに発生する。

・若木骨折(緑樹骨折・生木骨折)長骨に発生し骨が屈曲したもの。若木を折り曲げた状態に似るための命名である。幼小児の鎖骨、前腕骨などに発生する。

・陥凹骨折 ピンポン球をつぶしたような状態になったもの。扁平骨に発生する。完全骨折になったものを陥没骨折と言う。

・竹節状骨折(隆起骨折・花托骨折)圧迫によって骨の一部を押しつぶし骨折部が輪状に隆起し竹節状になったもの。小児の橈骨遠位端部などに発生する。

・骨膜下骨折 骨質は完全に離断するが、骨膜が離断されていないもので生理的骨形状を保ち、骨折線が確認できるもの。骨膜が厚く、弾力性に富み、骨質から剥離しやすい若年者に発生する。

・骨膜損傷 直達外力による損傷や骨間膜、筋、腱、靭帯などの牽引による骨の膜の損傷。

 

【骨折線の方向による分類】

骨の基準となる線を決め基準線に対して骨折線の走る方向により分類する。

横骨折 骨折線が骨長軸に対して直角に走るもの。

縦骨折 骨折線が骨長軸に対して平行に走るもの。

斜骨折 骨折線が骨長軸に対して斜めに走るもの。

螺旋骨折 骨折線が骨長軸に対して螺旋状に走るもの。

 

複合骨折 種々の方向に走る骨折線を一つのものとして考え、さらに3つの型に分類する。

・T字状骨折・V字状骨折・Y字状骨折 上腕骨及び大腿骨等の遠位端部に発生する。高齢者の骨折に多い。

・骨片骨折 1~2個あるいは数個の比較的大きな骨片を有する骨折。

 

・粉砕骨折 骨片骨折より多数の小骨片を有するもの。強大な外力により発生する。

 

【骨折数による分類】

単発骨折 1本の骨が1か所で骨折したもの。

複数骨折 (二重骨折)1本の骨が2か所で骨折したもの。

重複骨折 1本の骨が3か所以上で骨折したもの。

多発骨折 2本以上の骨が同時に骨折したもの。

 

【骨折部と外創の交通の有無による分類】

単純骨折(閉鎖性骨折・非開放性骨折・皮下骨折)創部と骨折部の交通がないもの。

複雑骨折(開放性骨折)創部と骨折部が交通しているもの。皮膚及び軟部組織が損傷し骨折部が外気と触れるもの。細菌感染の危険がある為、通常の骨折(単純骨折)と治療が異なる。一般の方やテレビ等のマスコミなどで単純骨折の中の粉砕骨折を複雑骨折と間違って使用していることが多い。

 

【外力の働いた部位による分類】

直達性骨折 外力が直接働いた部分での骨折。

 

介達性骨折 外力が他の部位に誘導され離れた部位で骨折したもの。自家筋力によるゴルフの肋骨骨折(ゴルファー骨折)や野球の投球骨折、腕相撲骨折なども介達外力によって発生する介達性骨折である。

 

【外力の働き方による分類】

剥離骨折(裂離骨折) 筋、腱、靭帯などの牽引力によってその付着部の骨が引き裂かれて骨折する。前距腓靭帯、踵腓靭帯の牽引による外顆の骨折、膝蓋靭帯の牽引による脛骨粗面、肘関節内側側副靭帯付着部の上腕骨内側上顆部での骨折、その他上前腸骨棘や手足のゆびの骨などに多い。

 

屈曲骨折 屈曲力の作用で骨折するもので3型に分かれる。

・1型 膝に棒をあてて両手で折るような骨折。骨折線は凸側より骨長軸に対しほぼ直角に進み、中央部で二つに分かれ凹側に規定を持つ三角形の骨片を生じる骨片骨折となる。

・2型 生木の枝を折るような骨折で骨の1側が固定され他側に屈曲力が働き骨折する。骨折線は凸側に始まり固定された方向へ斜めに走る斜骨折となる。

・3型 桶のタガのような木でできたリングを両手で押すと、その上下が屈曲して弾力性の限界を越え折れるのと同様機序で骨折するもの。

圧迫骨折 圧迫により押しつぶされるもので、骨の形状、力の方向によりさまざまな形態を呈する。

剪断骨折 二つの力が平行に反対方向から密接した力が働いたときに発生する。

捻転骨折 長骨の一方が固定され他方に骨を捻転する力が働いたとき、または両端に相反する捻転力が働いた時に螺旋状骨折が発生する。

粉砕骨折 ☞ 骨折線の方向による分類

陥没骨折 扁平骨に発生する。外力を受けたところに円状に骨折線が生じて陥没する。

破裂骨折 頭蓋骨にみられる。強い圧迫により破裂粉砕する。

 

【骨折の部位による分類】

骨端部骨折 近位部及び遠位部に分類される。骨幹端名称 長管骨名称 

・近位部骨折 さらに5つに分類される。

頭部骨折

頸部骨折

骨端線部骨折

結節部骨折

顆部骨折

・遠位部骨折 さらに4つに分類される。

顆上部骨折

顆(果)部骨折

骨端線部骨折

辺縁部骨折

骨幹部骨折 3区画に分類される。

上1/3部骨折

中1/3部骨折

下1/3部骨折

 

【経過による分類】

新鮮骨折 骨折後、血腫形成期からおおむね仮骨硬化期までのもの。

陳旧性骨折 仮骨硬化期以降のもの。

 

参考文献

社団法人全国柔道整復学校協会 監修 柔道整復学(理論編)改訂第4版

 

社団法人全国柔道整復学校協会・教科書委員会編集 南江堂



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